十二人の刺客2011~万城目学編~

10月は万城目学の文庫本を読み倒しました。

まず、発想が凄い。
とんでもなく突拍子のない発想のもと、作品が展開される。
しかしながら心底凄いと思うのは、「ひょっとしたらひょっとするのかも・・・」
と、そのトンデモナイ突拍子もない発想を、
肯定しかねなくなる現象を巻き起こすところにある。
(そう思ってるのはあたしだけかも?笑)

例えばどらえもんのどこでもドアは「あったらいいなぁ」とは思うけど、
それが「実はどっかに存在してるんじゃ・・・」なんて発想には至らない。
これはあくまでも、存在しえない夢物語としてちゃんと認識できているから。

しかし万城目作品では、存在しえない夢物語を緻密な現実を絡めながら、
絶妙な案配で描かれるため、「もしかしたら・・・」なんて、
一種の洗脳を受けてしまうわけです。恐ろしい。
実在する場所で展開されるパラレルワールド。そのさじ加減に唸る。

「鴨川ホルモー」
これは何年か前に映画版を観たんだけど、
その時に抱いた感想と全く同じ感想でした。

「くだんない。くだんないんだけど、
そのくだんなさがどうしようもなく面白い!!!!!!!!」
本当に面白いんだけど、これを面白いということで、
果たして人様にどう評価されるのか少し心配になるくらいにアホ話。
でも、面白いんだからしゃーない。

映画ができた時「まさかの映像化!」みたいなことゆわれてて、
確かに本を先に読んでたら、これをどう映像にするの!?
と思うかもしれないが、あたしの場合全く逆で先に映画を観たので、
一体どうやってこんなの文章で表現してんの!?と思いました。
しかし、見事に文章になってたね。(原作なんだから当たり前)

映画も観て本も読んだので、これはどうしても映画と本の比較になってしまうのですが、
ホルモーのシーン。
あ、知らない人に説明すると、ホルモーというのはとある競技のことです。
映画はお腹をかかえて笑ったけど、本はそこまでじゃなかったかな。
このへんはやはり、あの独特の動きと鬼語がリアルに表現されることで、
より笑いに繋がったのではないかと。しかも皆が真剣にやってることが余計笑ける。
そのへんやっぱ映像の勝利かなと。
観終えたあとは、思わず「ぺろんちょりー!」と、鬼語が口につきそうになりますから注意。
しかしながら、やはり映像にしてしまうと、これはもう紛れもない夢物語となってしまい、
「もしかしたら・・・」なんて、露にも思えなくなる。
本では京都の各所が詳細に描かれ、オニ以外はとってもリアルに
京都青春物語だから、その物語に紛れて、
ホルモーがとても想像上によるものとは思えなくなってくるんだよ。
そして、間違えなく京都に行きたくなる。ホルモーの片鱗を探しに行きたくなる。
読み終えたあとも尾を引く熱さなのは、本の勝利だと思う。
そして、それくらいとても魅力的な物語なんだと思います。


「ホルモー六景」
鴨川ホルモーのスピンオフ的作品。
まさかの続編ですが、本編に勝らぬとも劣らぬ面白さ!
短編モノになっていて、
本編では語られなかったホルモーにまつわる人たち及び
その周囲の人たちの物語が6篇収録されています。
そう繋がるかー!とか、そこ取り上げるかー!とか、
そんな設定あったのかー!とか。
本編とは微妙な間合いを取りつつも、
巧みとしか言いようのない絡めっぷりで、痛快この上なし。
個人的には映画で先に話を知っていた本編よりも、面白く読めたかも。
あと短編なので、軽い気持ちで挑めて読みやすかったかも。


「鹿男あをによし」
これを読み終えた直後くらいに、最寄駅から数駅となりにある
大学がいっぱい集まる地域を車で運転していたら、
目の前を鹿が横切るという事件に遭遇。
確かに緑はなくはないが、思いっきり大学&住宅街だし、
よもや鹿がいるなんて夢にも思わない場所だったので、
度肝を抜かれるとともに、「鹿男」からのデジャヴを感じ、
一瞬まじで目の使い番にでも選ばれたのかと思ったぜー!
人語を操るのではないかと、戦慄した一瞬がスローモーションのように流れた。
それはともかく。
玉木くん主演でドラマ化されていたので、存在は知っていたものの、
ドラマは全くのスルーだったし(第一あのころテレビ嫌いだったし)
タイトルからして、なーんか得体の知れない感ぷんぷんで、
どうにも触手の動きが鈍かったんだけど、
まぁ万城目さんだし読んでみるか~と、やや及び腰で挑む。
ホルモーに比べると突拍子度はやや劣る印象。
ファンタジーな作風ながら、思いがけない人が黒幕?だったり、
サスペンスというには大袈裟だけど、そういった種の側面もあり、
ホルモーよりハラハラ感はあるかも。

「プリンセス・トヨトミ」
これはもう恐れ入りました。
映画は観てないものの、結構話題になったので、
やんわり話は知っていたけども、これぞ万城目学真骨頂!
とでもいうべきその発想力。(というか妄想力?)
誰もが知っている大坂城の下にそんなものが!
「大阪国」をはじめとするその斬新なアイデアにただただ感服するばかり。
加えてその斬新なアイデアの徹底した設定ぶり。
おかげで、やはり「ひょっとしたら大坂城の下には本当に・・・」と思いかねない。
そして、そのとんでもない大阪国のもとに描かれる親子(父・息子)の絆。
父と息子の絆なんて、女であるあたしの人生には全く関係のない世界だけども、
この「プリンセス・トヨトミ」を読んで、なんだかロマンを感じました。
親子だけに限らず、メスっ気がない(女の人が関与しない)
男の絆(友達とか兄弟とか)って何か質実剛健な気質でいいよね。
しかしコレ、映画ってどんな風に作られてるんだろ・・・
怖いもの見たさの気持ちが疼いてる。

「ザ・万歩計」
万城目さん作品は、今紹介してきた順に読んだんだけど、
「ホルモー」×2、「鹿男」「トヨトミ」と、ここまで読んだら、
その発想力に、一体万城目氏とはどんな人なんだろう!?
という疑問が浮かび上がってくるのは、至極当然の理ではないかと思います。
その至極当然の理を一発で解決してくれるのが、本書「ザ・万歩計」でございます。
万城目氏によるエッセイ集。奇才の礎を覗ける一冊となっています。
日常での面白可笑しい発想だったり、
実際に体験した面白可笑しいエピソードだったり。
たまにホロリなんかもあったり。
小説とは違ったリアルな話ながら、
小説にも通ずる独特の万城目節が効いた作品となっています。
「なるほどなー!」と思った。こうゆう人だからあんな、
パラレルなのにやけにリアリティのある不思議な作品が書けたのかー!と、納得。
いくつもの話が綴られているので、読む人によって琴線に触れる話は様々かと思いますが、
あたしはやっぱり旅話が一番興味深く読めました。
大学時代様々な国にバックパッカーとして一人旅されてたみたいなんですが、
その話はどれもこれも面白かった!
あと、一番カンシンしたのは京都の自転車の話。
小説同様「もしかしたらもしかするんじゃ・・・」という気にさせられたので、
あの発想の話は小説に一番近い気がしました。
作品ができるまでの話に絡んでたりとかもあるので、
エッセイ集はいくつか作品読んでからのほうが
より一層楽しめるのではないかと思うよ。

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