「ソソソソ」

初めて遊気舎のお芝居を観た頃はまだ十代でした。
あの時の胸の高鳴りは今でもハッキリと覚えています。

全く期待せずに観に行ったのに、自分の想定を遥かに超える面白さに、
舞台が何だかキラキラしてみえて・・・・。

背もたれもないような(確か丸椅子とかだった)小劇場での芝居だったんだけど、
こんな世界もあるんだなぁ・・・!
この世にはまだまだあたしの知らない世界がいっぱいあるんだな~!
・・・なんて、ちょー大袈裟だけど、初めて見る小劇場芝居に感動したものです。
ドキドキしたものです。

そんな、あたしに小劇場の魅力を教えてくれた遊気舎という劇団の
第37回公演「ソソソソ」を先日観劇してきました。
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前略、お母さん。

元気にしてますか、僕は今、ある町にいます。
普通の町です、普通の人達です、普通の田舎です。
あ、たまにおかしな人もいます。
夏が終われば帰ろうかとは思っていたんですがもう少し先にしました。

どこかの田舎町に一人の女性が父親の死を期に静かに帰って来た。
そしてその家に再び風鈴が鳴りはじめた。
いつの間にかどこかに行っていたはずの新しい母の風鈴・・・・。
その母も何年も前に亡き人となっている。

都会の密集した住宅地やマンションでは暑さを和らげてくれるその音も
時として生活騒音として嫌われる場合もある

都会に疲れた人達が田舎に帰って来るのと
同じようにその風鈴もまた田舎に帰って来た。
風を得た風鈴は“水を得た金魚”のごとく生き生きと囁いている。

風鈴の音と共に何かが鳴りだしたようです。
もちろん僕のギターよりもかろやかに・・・・


公演チラシに書かれていた以上のあらすじ。
一体どんな話なの!?と、全く読めないまま迎えた公演日。
あたしの持ってる遊気舎へのイメージとは結びつかないあらすじを読まされて、
実はけっこー不安な気持ちでいっぱいでした(笑)

しかし、いやはや。行って良かった。
本当に素晴らしい作品だった。
面白くて。温かくて。感動。
以前観た時よりもっともっとパワーアップしていました。

開演ギリで駆け込み、先行で早々とゲットしていた最前列の座席へ。
正直、前過ぎて見づらいのではないかと思ってたけど、
舞台とのスペースも十分ですげー見やすかった。

着席すると、まだ開演はしていないはずなのに、
舞台となる民家のセットには登場人物とおぼしき役者の人たちが行ったり来たり。
既に始まっているのか始まっていないのか・・・
でも、後ろの席の人たちは普通に喋ったりしてるし・・・

後から入口で配られた案内を読んで解明したんだが、
どうやら、そーゆー演出だったようで。
舞台ではもう開演前から役者たちがそれぞれに流れているんだけど、
特に物語が始まるわけではなく。このヌルっとした時間を観客も、
お喋りするなり居眠りするなり自由に過ごす、みたいな。不思議な時間。

町内放送のサイレンが流れて物語がスタート。

舞台となるのはとある農家。

ここに暮らすのは一週間前父親を亡くしたばかりの異母兄妹と、
それぞれの嫁とダンナと、下宿して農家生活を体験している若者たち数名。
そんな賑やかな家に突然帰ってきたのが、父の葬儀に姿を現さなかった兄妹の姉。

やがて、少しずつ見えてくるのは、
もう亡くなってしまっている(長女と長男にとっては血の繋がらない)母と、
一週間前に亡くなった父と、異母キョーダイたちの過去のわだかまり。
下宿している若者たちにもそれぞれの事情が。
最初は全く飲み込めない複雑な人間関係も話が進むにつれ、徐々にわかりだす。

田舎を舞台にした温かいハートフルな家族愛の物語。

一方で、この家の床下にこっそりと住み、皮靴を上履きと言い張り
土足で家に上がりこんでくる謎のスーツ姿の男「羽曳野の伊藤」や。
幽霊に。
宇宙人に。
最後はUFOまで出てきます(笑)
・・・なんて書いたら、なんか物凄いハチャメチャな感じがするけど(笑)

そんな濃いキャラたちを巻きこんだ遊気舎らしい痛快な会話劇もありつつ、
最後、この謎すぎるタイトル「ソソソソ」の意味がわかる時には、
しっかり涙していました。
またBGMの「ALL YOU NEED IS LOVE」の曲がピッタシなんだわ。

そして、物語はこの家に下宿する若者の一人、
ギター青年・乙骨クンのナレーションで展開するんだけども。
そのナレーションは全部、実家の母に宛てた手紙のような内容なんだけど。

最後の最後がねー
天国のお母さんへの手紙だとわかった時には・・・!(涙)

全くもって、どーしてこんなに素晴らしい脚本が書けるのか!
羽曳野の伊藤を演じた座長、久保田氏を本当に凄いと思います。
あのオチはズルイ。

観終えたあと全てがわかりました。
チラシの謎すぎたあらすじも。
風鈴につり下がった女性のシルエットのチラシの絵も。
「ソソソソ」が何なのかも。
全て「あー!そーゆーことかー!」ってなった。

次回の遊気舎公演は来春。
絶対、行くー!

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